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不埒に淫らで背徳な恋

第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】





シャワーを浴びて髪は乾かしたままの下ろした状態。
ホットパンツにキャミソール、薄いカーディガンを羽織った完全なルームウェアだけど煽るには充分過ぎるスタイルだった。




何なら、カーディガンはワンサイズ大きめなので右肩からずり落ちている。
はだけている肩にも手が触れ、そのまま壁側へ。




今日この日の為に仕立てたであろうスーツ姿に見惚れていた。
今の表情はおそらく上手くまとまったんだろう。
お疲れ様でした…と言うべきか。




これから何を言われるのか、何をされるのかも想像がつく。




ふと目尻を拭われた。
泣いた跡を知られてしまった。




本当ならちゃんとした格好でちゃんとメイクしていつもの明るい私で迎えてあげたかった。
なのにどうして、まだ溢れてくるんだろう。




あなたを愛したい………




あなただけを見ていたい………




あなたの愛に溺れてみたい………




叶うなら、その愛に応えてみたかった………




涙の跡に軽く口づけされて目を伏せる。
肩を擦る手。
頬に触れる手。
再び見つめ合う視線。
暗くてもわかる息遣い。




触れるか触れないかの至近距離で一瞬たじろぐ。
頬や肩に触れていた手は首や後頭部へ移っていく。
溜めて溜めて出て来た言葉。




「今からお前を抱く……いいか?」




初めてお前と呼ばれた。
鋭く射抜いてくる視線……
こんなに強く出て来ることは今までにない。
覚悟が漲る口調もいつもと違って物腰が柔らかくない。




その場で脱ぎ捨てるジャケット。




「皺になっちゃう…」と視線を外したらそれを許さないとばかりに頬を包み額を寄せる。




熱い………かなり火照ってる身体。




「瑠香、俺はお前じゃなきゃ駄目だ」




余裕のない吐息がかかる。
壊したい……でも、と思い留まる様子も見て取れる。
きっと今、必死に理性と闘っているんだ。
自分のこと、俺って言ってるし。




でもこの腕に抱かれたら……どんなに幸せなんだろう。




私だってわからない。




どう抜け出すのか、どう這い上がるのか。




この手を離さず引き上げてくれますか…?
私を、この底なし沼から救い出してくれますか…?








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