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不埒に淫らで背徳な恋

第1章 【心の歪み、気付いてる?】





つまらない意地やプライド云々じゃない。
一緒に居ることが辛い……息が詰まる。
好きだからこそ……好きだったからこそ平気で傷付けてしまうものなの?




顔もまともに見れないの……




ねぇ、一緒に居る意味ある……?





「瑠香…!」




背後から呼ばれても振り向けない。
立ち止まる私を抱きしめてきた腕。
身動き出来ないほど強く。
振り解かないのは最後の望み…?




「俺、瑠香を失いたくない」




背中から伝わる鼓動はうるさいほどだ。
緊張…してくれているのがわかる。




「こんなことで…俺たち終わる仲じゃないだろ?」




こんなこと……?




稜ちゃんにとっては、こんなことなの……?




「俺は瑠香が傍に居てくれたらそれだけでいい……他には何もいらないよ」




それって……どんな言葉より刺さるよ。




一番の罪。




気付かず……驕らず……平然な顔して過ごせるほど人間出来てないの。




「子供なんていらない……瑠香だけでいい」




本心じゃないくせに。
じゃあ、お義母さんの言葉は…?
何も否定出来てなかったじゃない。




その日の夜、普通の顔してセックスを求めてきた。




何を考えているの…?
どんな思考回路してるのよ。
それでもしたい、とか私にとっては有り得ない。
当然、拒否した。




「ちゃんとゴム着けるから…!これ以上気持ち離れてほしくないんだよ…!」




「だからってセックスすれば離れないとでも思ってるの?」




お願い……トドメを刺さないで。
本気で嫌いにさせないで。
わかってよ……私から言わせないで。




自分勝手だよ……
私の気持ちはどこにあるの……?




「ごめん……瑠香の気持ちが離れてる気がして焦った」




「私こそごめん……今日はしたくない」




「わかった」




背中を向けて寝たのに背後から抱きついてくる。
何もしないから…とお願いされた。




前までは触れられて嬉しかった手の温もり。
引き締まった腕もゴツゴツしていて男らしくて好きだった。
髪にかかる吐息も一人じゃないんだって安心出来ていたのに。




セックスせずに済んでホッとしてる。




初めて拒否した。









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