テキストサイズ

不埒に淫らで背徳な恋

第11章 【最終章 背徳没倫〜人の道から外れ、道徳に反する〜】





そっと離れた唇は抵抗しない私に何を感じたのだろうか。




バサッとその場で押し倒され覆い被さる身体。
光のない目が私を捕らえてる。




溢れ出した雫が頬に落ちてきた。




「どこ触られたの?どんな風に抱かれたんだよ……チクショウ!」




冷たい床の上で寝転がり、その上で悔しそうに何度も床を叩きつける春樹さんは完全に壊れていた。




私が、壊した。








しばらくして落ち着いたら「ごめん」と起こしてくれた。
手のひらで拭った頬と赤い目。
直視出来ないほど弱ってる。




「取り乱して悪かった」




静かな空間に浮かんでは消えた。




乱れた服を直してもくれた時、
「ここもごめん」とキスマークを謝罪してくる。
大丈夫……私がしたことに比べたらこれくらい。




「これは返してもらわなくていいから……悪いけどそっちで処分してくれ。売るなり捨てるなり好きにしてくれて構わない」




返したはずの指輪が戻ってきた。
そうだよね、春樹さんならそう言うよね。
一度あげたものだから返ってくるのは不本意なんだろう。




そっと手が重なる。




恐る恐る顔を上げたら真っすぐ見つめ返してくれる眼差しに、やっとまともに向き合えたと思った。




「嫌われる覚悟でひとつ、言ってもいいか?」




胸がギュッとなる。
最後のお願いみたいだ。
これで……終わりなの?




「最後とか……言いたくないけど」




ほら、最後なんだ。
春樹さん……必死に整理しようとしてくれてる。




「一番キレイなままで終わりたい」




よめない……何を言おうとしてるのか。
握り締めるこの手は何を伝えようとしてるの…?
最後……なんだよね?




「ちゃんと気持ちにケリつけるから……」





込み上げる想いに声が上擦っている。




もう何を言われても何をされても受け止める。
それが贖罪であり罰なんだと思う。




「このまま瑠香を抱きたい」




「え……」




「最後に……抱いて終わりたい」




「そんな……」




「嫌か…?終わったら、そのまま別れよう」




「え…?」




「いつもの感じで……終わろう、俺たち」









ストーリーメニュー

TOPTOPへ