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不埒に淫らで背徳な恋

第11章 【最終章 背徳没倫〜人の道から外れ、道徳に反する〜】





激しい雨が何日か振り続いていた。





「佐久間マネージャー、今年もMVP入賞してますね」




毎年、一年に一回営業成績が発表され社内で各々表彰した後に記念品などを頂いていた。
社員で常にトップを維持している私だが、今年は譲ってしまったみたい。




「でも1位が佐野っちだなんて相当頑張ったんだろうな」




全社で発表される為に嫌でも目に入る。
部長も佐野くんの功績に驚いてるし、当分この話で持ちきり。




「教え子に持ってかれたが佐久間も相変わらずだな、おめでとう」




「一言多いです、部長」




「ガハハ…!でも今年は式典もあるし、そこで表彰式だから盛大だよな」




「そうですね…」




「何だ、浮かない顔して」




「いや……表彰者はドレスアップ…とかメールきてました」




「おう、盛大に…だからな」




正装…ではなくドレスアップと書くあたりはこの会社らしい。
もはやパーティーなんだろう。
全社の表彰者が集まるし役員も合わせてザッと100名ほどだろうか。




そこでまた……佐野くんと会う。
あれ以来初めて顔を合わせることに。
春樹さんと別れたことも何も連絡していないままだ。
向こうからも一切きていないし。




会場で会ったとしても他の人の目もあるし会話することもままならないだろう。




別れてすぐなのに……早過ぎる?




それにまだ同僚たちには言えてない。
部長にすら……怖くて言えない。
めちゃくちゃ太客だし、誰もが結婚するものだと思っている雰囲気で言い出しづらい。




それだけでもかなり驚く上に、今度は佐野くんと…なんてひっくり返るよね。
内緒にしておくのも気が引けるけど、タイミングがなかなか掴めないでも居る。




様子見を維持してるけど………




「ドレスアップってやっぱり小山社長が見立ててくれたりするんですか?キャー!」




やっぱりそういう話になるよね。
うちはどちらかというとミーハーな子が多いから。




「あ……うん、どうかな?仕事忙しいみたいだし」




「そんなの愛する彼女の為なんだから大丈夫ですよ〜」




いや、買いかぶり過ぎ。








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