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不埒に淫らで背徳な恋

第11章 【最終章 背徳没倫〜人の道から外れ、道徳に反する〜】





「小山社長なら抜かりなさそうですもんね」




ヤバい……更に言い出しづらくなってる。
少し浮かない顔してると部長までも。




「何だ、そんなに佐野に抜かされたことが悔しいのか?次挽回すればいいだろう!佐久間なら絶対しそうだけどな」




そこは頑張るとしか言いようがない。
何だか皆、微妙に違う方向で噛み合ってないから誤魔化すのもひと苦労。
いつまでも隠し通すわけにもいかないのだが。




「ま、ずっとトップを貫いて来たんだ、たまには誰かに譲ってやれ。それで切磋琢磨する方が楽しいだろ?」




「……ですね」




適当に相槌を打ちつつ、どうドレスアップするかを考えていた。




鬼のようにタイピンしているとやっぱり悔しかったんだ…と噂される。
いや、仕事に打ち込ませてください。
悔しくないかと聞かれたらそりゃ悔しいけど、今はそこじゃない。




自分が一番何をしなければならないのか、はっきりしないから仕事するしかないの。
とりあえず、ズルズルはいけないから断ち切っただけ。
自分の気持ちに正直になっただけ。




その後は…?




一旦、冷却期間……なのかな。
ちゃんと見つめ直す期間。
本当にこれで良いのか。
進むべき道は合ってるのか。
後悔しないのか。




全部の問いにはもうすでに答えは出てる。
ただ行動に移すだけなのに客観的に見る自分も居て。
その度に進めてた足は止まる。




それなりの理由をつけて考え込む無駄な時間。
もう若くないの。
色んなしがらみが付いてくる。
勢いだけで突っ走れないんだよ、もう。




振り返らずに走るのって結構勇気いる。
自分の核をはっきり示せない。




仕事だったら素早く決断出来るのにな。
プライベートはまるでダメだ。
お恥ずかしい限り。




時計を見て席を立つ。
コートを羽織り予定ボードに書き込んでいく。




「○○店の視察行ってきます」と皆に声をかけ外回りに出ようとしたらジーッと視線が集まっている。




え、なに……?




すかさず自分のコーデが変なのかチェックし直すもよくわからない。
一番近くに立っていたみなみちゃんが。




「やっぱり佐久間マネージャーって格好良いです」




「え…?急に何…?」








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