不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
普通に「おはよう」と言って一緒に家を出た。
目も合わせられるし他愛もない話も出来た。
一晩寝たら意外と落ち着いて居られる。
「じゃ、終わったら連絡するね」
「うん、気をつけてね」
不思議なほど冷静だ。
片方では今日一日のスケジュールプランを考えてるけど、ちゃんと稜ちゃんに向けて笑えてる。
今日朝起きて決心したこと。
「おはようございます、部長。今日は外回り一件だけですので溜まりに溜まった有給を消化させて頂いてもよろしいでしょうか?半休で構いません」
「お、おぅ……承知しました」
ちょっと圧かけすぎたかな?
若干引いてる。
急に私が有給使い出して周りがアタフタしてるのは気になるが段取りは自ら組み立てていくもの。
皆、頑張れ…!!
そして、急で申し訳ない…!!
午前中は佐野くんを連れて挨拶まわり。
早く顔覚えてもらわなきゃ。
会社に戻って仕事割り振って風のように去って行く。
大丈夫、誰にも言ってない。
勿論、稜ちゃんにも。
一通り調べてやる。
気の済むまで調べて突きつけてやるから。
「畠中瑠香さん、第3診察室へお入りください」
「はい」
「では、ブライダルチェックの説明から入らせていただきます」
WEB予約していたレディースクリニック。
ブライダルチェックとは、簡単に言うと妊娠出来る体かどうか調べるってこと。
健康かどうか、現時点で妊娠に影響する病気があるかどうかをチェックしてもらう。
血液の採取、採尿、内診(超音波検査と細胞診)を終わらせる。
最後の問診で先生は私に言った。
「妊娠を望むならあなただけではなく、パートナーであるご主人も一度連れてらっしゃい。二人で受けるのが一番望ましい。夫婦で問題がないか調べるのは何も恥ずかしいことじゃないわ」
稜ちゃんと二人で…?
精子の数や動きを見るんだって……
え、稜ちゃんに言える…?
そっちの身体も調べたいから一緒に病院来て精子出してって…?
「結果は10日ほどで出ます。お仕事されてるなら郵送にしましょうか?」
万が一、稜ちゃんに見られたら?
私宛ての郵便物は見ないだろうけど、レディースクリニックからだったらしつこく聞いてきそう。