不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
目尻からこぼれ落ちる涙。
こめかみを通ってシーツに染みてく。
瑠香………瑠香…………って私を呼ぶ声が愛しい時期もあった。
好きだったよ……
その気持ちに応えてあげることが私の喜びだった。
ひとつ返せばその何倍も返ってくる愛が生きる糧でもあったの……
私たち、どうしてこうなっちゃったの?
どうしてこんなふうに擦り減らなければならないの?
あの時の気持ち、どこに置き忘れたの?
さっきの顔……正直怖かった。
私を見てなかったよね?
本当に怒ったからした行為なの?
あんな余裕のない稜ちゃんは初めてだった。
最近ずっとしてなかったから。
上手くすり抜けてたつもりだったけど、こうなるんだったら許してた方が良かったのかな。
今まで物足りなく感じていた行為が
早く終わってホッとしてるなんて可笑しな話。
「瑠香、ごめん」
ずっと向けたままの背中。
後悔してる…?
こっち見ないってことは少なからず反省してるってことなのかな?
そう解釈していい…?
これ以上嫌いになりたくない。
「二度とこういうことしないで」
もう、何も感じないのが一番怖い。
服を着てカバン持ってそのまま家を飛び出した。
公園のベンチに崩れ落ちる。
静かに嗚咽をもらし肩を揺らした。
足に染みていく涙。
止まらないよ……泣きたくないのに……
カバンの中で鳴ってる携帯。
きっと稜ちゃんからだ。
黙って出てきたから居場所聞かれる。
嫌だ……帰りたくない。
カバンを抱きしめ逃れるように歩き出す。
携帯鳴らしながら近くを探してるかも知れない。
顔…見たくない。
距離置きたい。
今夜は……ネカフェにでも泊まろう。
着替えは何着か会社に置いてある。
メイクならいくつかサンプル持ってるし大丈夫。
そうだ、携帯は電源落としておこう。
カバンから取り出して私の足は止まった。
え…?会社から…!?
さっきの着信は稜ちゃんからじゃなかった。
何かあったの…?
もう皆も退社してるはず。
慌てて折り返す。
誰も出なかったら大した要件ではないんだろう。
何度かコールが鳴って切ろうかと思った瞬間繋がった。