不埒に淫らで背徳な恋
第13章 【番外編〜快くんと瑠香の日常〜その①嫉妬】
力込めてきたから振り払うように逆壁ドンしたら手が離れた。
顎のラインに指を這わせて挑発したら「二人で抜けよう?」って言うその口黙るかな。
「こんなお酒入ってボーッとしてても私は山路くんに何の魅力も感じない、キスもセックスもしたいと思わない、何故なら今すぐ帰って旦那さんとしたいって思ってるから」
「なっ…!」
「あぁ、あんま下手に喋らない方が良いよ?旦那さんと今、携帯繋がってるから…」
カバンから通話状態の携帯を取り出し山路くんに見せた。
「電話しようとしてる時に邪魔しないでよ」
そう忠告した後目の前で携帯を耳に当てた。
__快くん?今から帰る、待ってて
ドキドキしながら第一声を待つ。
呆れちゃったかな?
嫌われたかも知れない。
もしそうだとしたら泣いてすがっちゃうかも。
沈黙が怖いから早く何か喋ってよ。
聞いてたよね…?
ヤバ……泣きそうになってる。
やり過ぎたことに激しく後悔の念が押し寄せている。
__もう怒ってない…?
思った以上に小さい声。
聞き逃さないよう耳を澄ます。
__ごめん、騒がしくて聞き取りにくい
グスッと鼻をすする音。
__もう触っていいの?
嗚呼……ヤバい。
ギュッと胸を鷲掴みされてる今。
早く会いたい。
早く抱き締めたい。
__うん、良いよ
__じゃ、そこの店出て来て
__え?
__GPSつけたの…ごめんなさい
__え、子供は?
__ごめんなさい、お義母さんに預けました……泊まるって
携帯を離し、その場に立ち尽くす山路くんにバイバイと告げた。
歩きながら再び通話に戻る。
__待てなかったの?
__うん……怒ってる?
怒ってるわけないじゃない。
お母さんには悪いけど喧嘩してるの告げてたから仲直りだと気を利かせてくれたのだろう。
喧嘩じゃなく罰…なんだけどね。
皆の居る場所に戻り、帰ることを告げる。
そろそろお開きの時間だったし会費だけ先に渡して一足早く店を出た。