
不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
背徳没倫(ハイトクボツリン)………
人の道から外れ、道徳に反することを指す言葉。
徳に背き倫を没す……まさに私たちのことだよね。
唇が離れて「ごめん…」と謝った。
どうして謝るのかって聞かれても上手く答えられない。
床に座らせた上に乗っかってる格好で我に返っても遅いよね?
「後悔…して欲しくないからやっぱりこういうのは止めよう」
立ち上がろうとする身体を引き寄せ抱きしめられる。
「後悔なんてしません…!もし後悔するのなら…それは今、チーフから離れることです。一人にしたくない」
心臓が暴れてる……抱きしめる腕もわずかに震えてて。
こんなんじゃほっとけないじゃない。
私だって欲しくなる。
もう触れたくなってる。
どうしたらいい……?
私は彼をどうしたいの……?
再び近付く唇。
後悔しないと言った彼の言葉に都合良く甘えてしまうの…?
彼は悪くない……悪いのは私。
後悔と共に傷付けて多くを失わせる。
躊躇する私の下唇を甘噛みしてキスをねだる彼。
触れたら止まらなくなるのに。
腰から引き寄せられてもう逃げられない。
「地獄に落ちるよ…?」
「チーフと一緒なら構いません…僕だって生半可な気持ちじゃないです」
「じゃ……一緒に落ちてくれる?」
「はい……絶対に離しません」
一粒の涙が頬を伝って落ちた。
優しく拭う手。
「綺麗です……チーフ」
なんて、欲しそうな瞳………
視線だけで煽るとかズルい。
もうキミしか見えなくなるよ………
額をくっつけて瞳を閉じた。
「欲しい……佐野くんが欲しい」
神様……ごめんなさい。
いけない扉を開いてしまいました。
苦しくて…辛くて…孤独がいつまでもつきまとう禁断の扉。
ダメだと知りながら越えてしまう。
激しく絡み合う舌。
首に手を回して求め合う。
たった一度のキスだけでわかってしまうものなの……
彼はキスが上手い。
何もかも私好みでゾクゾクするほど絡みついて離れてもまたすぐ絡みたくなる。
こんなに熱くなるキスは初めてかも知れない。
指も絡ませたら薬指を舐めてきた。
