
不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
カバンの中に入れっぱなしだった携帯。
ずっと放置していた。
後輩に気付かれて仕方なく席を外す。
向こうも昼休みでかけてきたっぽい。
朝は完全にスルーしていたから今になって続けてかけてきている。
非常階段のところで通話ボタンを押した。
稜ちゃん怒ったりしてるかな…?
結婚してから黙って居なくなるとか初めてだし無断外泊なんて……
通話中になり第一声は私の名を呼んで、返事をしたら安堵のため息が聞こえてきた。
__良かった……良かった……瑠香、会社か?
__うん……昨日はネカフェに泊まった
聞かれる前についた嘘。
そうか…と信じてくれてる。
胸の奥がチクチクするけどこうなることは必然なんだ。
__本当にごめん……二度としない
__もういいよ……時間ないから切るね?
__待って…!今日は帰って来るよね?
__うん……そうする
__ありがとう……俺、瑠香が居ないとダメだからさ……戻って来てくれて嬉しいよ
__うん……もう休憩終わりだから切るね
電話だから淡々と話せたけど、今夜顔を合わせたら私は普通で居られるのだろうか。
いつもより遅めに帰宅したら玄関まで駆け足で来ては抱きしめられた。
一日ぶりの稜ちゃんの匂い。
帰って来てくれてありがとう…って噛み締めながら言ってくれている。
「瑠香……もうどこにも行かないで?」
泣いてるの?
家の中に入ってびっくりした。
かなり散らかっている。
脱いだ服もそのまま。
テイクアウトしたであろうお弁当のトレイや飲み散らかした空き缶。
「ごめん…今すぐ片付けるから」
「いいよ、稜ちゃん…私するから」
たった一日でこの荒れっぷりか。
電話にも出ないから余計焦ったのかな。
その頃私は………
脳裏に浮かぶ昨日の光景。
食器を洗っていたら後ろから抱きしめられる。
「稜ちゃん?邪魔だよ?」
「ごめん……少しだけだから」
今日はあまり触れて欲しくない。
まだシャワー浴びてないから。
匂いでバレるかも知れない。
「もう終わるから座って待ってて?コーヒー淹れようか?」
