テキストサイズ

不埒に淫らで背徳な恋

第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】





「誰?田中くんに日本酒飲ませたの…」




チラッと遠方を見たら部長がたらふく日本酒を嗜んでいる。
部長〜!田中くんに飲ませたらダメでしょう〜!
佐野くんと盛り上がってるのは良いことだけども。




「田中〜!いつまでもチーフに甘えてたらダメだぞ」




そう言うみなみちゃんも呂律回ってない気がする。
え、田中くん…今度は泣き出した!?
また落ち込んでるのかな?
すかさずハンカチを渡すも握りしめるだけでポタポタと涙は止まらない様子。




「田中くん…どうしたの?」




仕方なくハンカチを取り上げ拭いてあげる。




「田中甘えすぎ〜!」




「わかった、佐野っち来てチーフ取られちゃったから寂しいんでしょ?」




え、取られたってただの研修期間じゃない。
変な言い方されて逆に焦る。




「チーフ、田中はチーフに憧れてんすよ、ね?田中」




うぅ〜ってまだ泣くか?
今日は酔ったら泣く人なのね。
グラス持つからダメだと取り上げた。
店員さんに烏龍茶を注文する。




「僕はチーフとまだ飲みたいれす!」




わかった、わかった…と来た烏龍茶と乾杯した。




「何で僕じゃないんすかぁ〜」




「え?」




ヤバ…聞き流すつもりが反応してしまった。




「チーフの机汚い!が好きなんれす…」




「嗚呼……ハハハ、もしかしてわざとだったの?それだったら怒るよ!?」




酔っ払ってる田中くんはちょっと面白いかも。
みなみちゃんが動画を撮り出す。
今の姿を明日見せて反省文書かせますってそこまでしなくていいよ。
撮りながら爆笑してるし。




思い出に、と全体も撮ってる。
後でグループLINEで貼り付けるらしい。
シラフになった田中くんは青ざめるだろうね。




「はい、田中〜愛の告白をどうぞ!」




みなみちゃんも相当酔ってるね?
ケラケラ笑いながら携帯向けてる。
カメラに向かって
「僕はチーフが好き!僕のものだ!」って完全に据わった目で言われてもね……




「でも僕はまだ一人前になれない…」




「頑張れ〜」








ストーリーメニュー

TOPTOPへ