不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
もう烏龍茶すらまともに飲めずYシャツにこぼしてしまう。
おしぼりで拭いてたら
「僕はチーフが居てくれるから残れてます」って言われた。
気合い入れる為に自分もグラスに入ったビールを流し込む。
おぉ…と言われ勢いよくグラスを置いたら身体ごと田中くんに向き合った。
この酔っ払いめ!と人差し指で頭を小突く。
「もっと自信持ちな?やれば出来るんだよ、田中くんは。出来ないって思ってたら私はとっくに見放してる」
う……ん、私も段々酔いがまわってきたか。
テーブルに肘付きながらウルウル目の田中くんを見ていた。
「田中くんが、あと一歩……あと一歩だよ?頑張ってくれたら安心して任せられるよ。だから……泣くなぁー!」
毎日プレッシャーと戦ってくれてたんだよね、そこはちゃんと認めてあげないと若い芽が育たなくなる。
なでなでしてあげたら余計泣いた。
笑うしかなかった。
「うぅ……僕、チーフが結婚してなかったら本気で好きになっちゃいまふ」
「アハハ……ありがとね〜」
結婚してなかったら………か。
私も同じように考えたことがある。
どうしようもない消せない事実……なんだよね。
「田中酔い過ぎ〜!キャハハ!」
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
お手洗いのついでに携帯を見て、稜ちゃんからメールが入ってないことに胸を撫で下ろしていた。
ここを出たらメールしなくちゃならない。
LINE開くの、嫌だな。
「あ、チーフ見っけ!何してんれすか?旦那さんにメールですか?」
またもや登場、田中くん。
すでに千鳥足だ。
「田中くん、トイレならこの奥…っ」
教えてあげたら抱きついてきてびっくりした。
壁に押し倒される。
「キャッ…!ちょっと田中くん!?」
「うぅ……もう飲めません」
お、重い………押しつぶされる……!!
何なのよもう…!!
「先にトイレ行きなってば…!」
思いきり足を踏んづけてやろうかと思った矢先。
勢いよく田中くんの身体は離れ、息苦しかった私は助かった。