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不埒に淫らで背徳な恋

第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】





「田中さん、飲み過ぎですよ?」




「あ……佐野くん」




ひょいと片手で田中くんを引き離してる。




「チーフ、大丈夫でしたか?遅くなってすみません」




「ううん、助かった…ありがとう」




「田中さんは僕が連れて行きますね?」




「う、うん…」




「ほら、歩いてください、行きますよ?」




酔っ払いの扱い、慣れてる。
頼もしい背中を見届けた後、待ってしまっている自分。
戻って来た佐野くんの隣に行く。
田中くんを支えたまま歩くのに軽々と持ち上げて格好良く見える。




「大丈夫だった?」




「ええ、何とか…」って苦笑い。




「何かごめんね?佐野くんの歓迎会なのに」




「本当っすよ、全然僕と喋ってくれないし…」




「そ、それは……」




ちょっと、田中くん居るのに…って半分寝てるか。
こんな時にクシャッと笑うの禁止……
心臓に悪い。




楽しい会もお開きになり、ベロンベロンに酔った田中くんは同期のみなみちゃんが送ってくれることになった。
皆をタクシーで見送った後。
カバンから取り出した携帯。




(今から帰る)




稜ちゃんに送信しようとした手を止められた。
腕を引かれ人気の居ない死角となる自販機に隠れる2つの影。




熱い身体……触れなくてもわかる。




頬を包まれゆっくりと視線が重なり合う。
知ってる………この瞳は誘惑の瞳。




「佐野くん……外だよ?」




「僕以外の男と喋ってた罰です…」




誘惑から移り変わる嫉妬の瞳。
熱い………のぼせそう。
親指が唇をなぞる。




「ダメ……」




視線を外すだけじゃ何の抵抗にもなってないってわかってる。




「もう皆さん帰られました……今は二人だけですよ?」




だからってこんな場所で………
完全に隠れてるけど展開早いよ。
まだ焦らすんですか?って顔が近い。
すぐにキミは私を逃げれなくする。




「ここじゃヤダ……」




って、これじゃ私が誘ってるみたいに聞こえちゃうじゃない…!
いや、単純に店長さん出て来たらヤバいし。
って、今の佐野くんには何言っても無駄らしい。








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