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不埒に淫らで背徳な恋

第3章 【破滅的な愛でしょうか?】





「お風呂、温めといたよ?」




「え…?」




「入るだろ?瑠香いつも遅く帰って来たら直行してるじゃん」




「あ、ありがとう」




日頃の行いに救われた気がした。
匂い……消さなきゃ。




下着を取り裸になった自分が鏡に映る。




さっきまではあの手が触れていた。
頭の芯まで疼いてどうにかなりそうだった。
本当に彼と越えてしまったんだ………
取り返しのつかない関係にさせてしまった。




シャワーを出し濡れていく身体。
ゆっくりなぞり噛み締めながら消していく。
戻れない……きっともう。
身も心も焦がれてる。
あの笑顔が焼きついて離れない。




私、このまま稜ちゃんと普通に過ごせる…?
後ろめたい背徳感をずっと抱いたまま一緒に居れる…?
同じ方向になんて歩いていけないよ……




これからどうなるんだろう?私たち。




寝室に戻るとまだ稜ちゃんは読書しながら起きていた。




「あ……先に寝てくれて良かったのに」




「いや、ちゃんと瑠香の寝顔見ないと安心して寝れないから」




え、何言ってるの?
そんなこと初めて聞いた。
動揺を隠せているだろうか。




「ごめんね?こんな遅くまで起こしちゃって」




「無事に帰って来てくれたからいいよ」




「うん……」




怖い……ひとつひとつの言動が見透かされてるみたいで落ち着かない。
おやすみ、と今日も背を向ける。
わかる……こっちに来る気配。
何もしないから…とまた抱き寄せられ眠りにつく稜ちゃん。




背中に感じる体温が私を追いつめる。
優しくしないで……
気持ちがまた通えるなんて思わない。
このまま嫌いにさせて……




そう考える私は悪魔だ。
自分の中の醜い心が嫌になる。




後悔……してる?




もしも時間を戻せたら……
彼との関係を白紙に戻す……?




いいや、しない。
きっと愚かな私は稜ちゃんとの結婚をやめる選択をするかも知れない。
なんて、バカなことを考えながら眠りについた稜ちゃんを残し、リビングのソファーで朝を迎えた。




一緒になんて眠れる気がしなかった。




「おはよう」




「あ、おはよう…」




こんな早く起きることないのに。
普通の挨拶で強張る。








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