不埒に淫らで背徳な恋
第3章 【破滅的な愛でしょうか?】
「顔、見せてください…」
そんな余裕ないってば……!
髪を掻き分けられて横顔が見えたら耳を甘噛みしてくる。
ダメっ……またいっちゃう…!!
痙攣する身体を抱き抱えると一番敏感な場所に指が届いて、前からも後ろからも快楽を与えられた身体は再び絶頂を迎えるのであった。
「もうダメ……もう無理……」
気持ち良過ぎてずっと喘いでる。
「最後は顔見ながらいっていいですか?」
コクリと頷いて挿入する瞬間。
またもや鳴り響く携帯電話。
動きが止まって二人ともカバンに視線がいく。
もう……タイムリミットか。
「キスして……」と私から唇を奪った。
電話は取らない、を選択してしまったことに後悔はない。
それより途中で止めないで…と強く思ってしまっていた。
完全にハマっている。
相性が良過ぎて狂ったように求める身体が本当の快楽を知ってしまった。
調教……されてしまったの…………
「今から帰るから」
電話でそう伝えてタクシーに乗った。
さすがに電話出来なかったのかと問い詰められたが酔ってるフリをした。
ずっと後輩の女の子たちと一緒に居たから大丈夫だと平気で嘘をついている。
乗車した隣には佐野くんが居て手を繋いだまま。
運転手の目など気にもせずキスしてしまっていた。
途中で降ろして一人きり。
頭の中でようやく渦巻く後悔の念。
これから帰る家には稜ちゃんが居て、当たり前のように夫婦として振る舞うんだ。
汚れた私をあなたは何も知らず抱きしめるの。
「こんなに飲むなんて珍しいな?大丈夫か?」
もうじき0時を回る深夜にも関わらず、わざわざ玄関まで出迎えて……待ってたの?
心配したんだぞ…?と髪を撫でられる。
こんな時間に帰って来たこともないし、出迎えられることもなかった。
稜ちゃんが私を待ってる…?考えもしなかった。
ジッと見上げていたら「おかえり」と優しい言葉をかけてくれた。
今までに残業とかで言われたこともあるけど今日はやけに沁みる。
「ただいま…」
嘘つきな唇が小さく答えた。