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不埒に淫らで背徳な恋

第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】





「仕事中よ」と離れてリスト表を手に取る。
またシュン…としてるの何回目?
こういう調べもの、ちょっと苦手なのわかってるから一緒にしようって言ったんだけどさ。




「これはこっちの棚…」




異動式の棚をどんどん開けていって中に入って行く。
ちょっとしたスペースが出来て死角になるんだよね。
あ……しかも高い位置にお目当てのファイルが。




「取れる?」と指差す。
少し拗ねた様子で棚を見上げてる。
ったく、子供なんだから…と心の中で大きな溜め息。




伸ばしてない方の腕に触れて視線を奪ってしまった。
棚に背をつきネクタイを引き寄せる。




「何怒ってるの…?仕事中はダメだって前から言ってるじゃん」




彼にだけ聞こえる声で煽り、更にグッと引き寄せ耳元で囁く。




「お仕置き……されるべきは佐野くんじゃない?」




再び見つめ合えばもうあの瞳をしてる。
顔色ひとつ変えない私に焦りでもした…?
また嫉妬にまみれたキスでもする…?
なんてね……もうさせない、そんなこと。




少し曲がったネクタイを直してあげる。




「怒ってる意味、わかりませんか?」




彼の手を耳元に持っていく。




「ここ、触らせてたことでしょ?」




一瞬で顔色が変わる。
怒ってる顔も見惚れちゃうよ……ズルいね。




「あと、全てにおいて距離が近過ぎです」




そんな睨みつけないで……もう待てなくなる。




「僕以外……触れさせないって言ってたじゃないですか」




「そうね……でも会社ではこういうのしたくないの」




もっと自覚持たないと足元すくわれちゃうから。
引き寄せた時点で何の説得力もないけどね。





「もう誰かさんが嫉妬に狂ったとしてもナイからね?」




ギュッと近付いてきた身体。
もうキスしちゃいそうな距離で見つめ合う。
吐息かかっちゃうよ。




「ダメですか…?」




わかってて聞いてくるあざとさ。
ヤバい……流される。




もう……触れる。




「お仕置き……今してください」




甘噛みされた唇。
許してしまった勤務中のキス。
深くはない煽るだけのキスを与えてきて試してるの…?








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