不埒に淫らで背徳な恋
第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】
「僕の為に来てくれたんですか…?怪しまれない為に定時で家に帰るんじゃなかったんですか…?ズルいです……僕が今日どれだけ必死に普通に振る舞ったか…!」
背中から伝わる彼の葛藤に胸が張り裂けそうだ。
ごめんなさいしか言えなくて辛い。
「でも私は快くんを失いたくない……」
「え…?」
「離れてくって思ったら……気が狂いそうだった」
ゆっくり振り向いて揺れる視線が重なる。
ちゃんと伝えなきゃ一生後悔するって思ったから。
「私はズルい……最低な女よ?平気で傷付けておきながらこうして会いに来るんだもん……まだ好きって言うんだよ?快くんがもう好きじゃないって言ってもずっとずっと好きでいるんだよ…!」
嗚咽が止まらない。
正面から抱き締められて涙が溢れた。
「何でそういつも僕を抑えきれなくさせるんですか…!わからなくなったんです……瑠香さんを悲しませない為にどうするべきなのか」
伝わってくる体温が温かくて優しい。
こうして触れたかった。
泣いて取り乱すほど恋しかったの。
まだ間に合う…?嫌いにならないで。
「でももう無理です……瑠香さんが来てくれただけでコントロール出来ない……僕はこれからずっと、瑠香さんをもう好きじゃないなんて言えません」
欲しいタイミングで与えてくれるキス。
このキスに何度悶えただろう。
わかんない……離れられない。
好き……大好き………加減出来ない。
激しく絡み合う舌と寄せ合う身体。
糸を引いて離れる唇。
息の上がる肩。
熱い視線がまだ欲しがっている。
再び近付いて来た唇をそっとおあずけしたらどうなっちゃう…?
「快くん……二人きりの時は本音ぶつけてくれていいんだよ?自分を殺さないで……」
「じゃ、まだキスしたい……その先もしたい」
余裕のない眼差しがゾクゾクさせる。
欲しくて堪らない顔。
鍵をかけて「逃さない」と言った。
「だったらもっと怒って…?」
「瑠香さんのこと好き過ぎて怒れません…」
「それじゃ私…悪いままだよ?いいの?」
「どんな瑠香さんも好きです、と言いたいところですけど……瑠香さんはどうしたいですか?僕に、どうされたいですか?」