
不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第34章 付き合うことの意味
間もなく、「おい」と瀬川くんが声をかけると2人は必要以上にビクリと反応し、振り向きながら手をほどいた。
「別に、急いで離さなくてもいいのに…」
私が言うと、アンナは
「違うって!この人混みじゃ、はぐれるからさあ?!」
と弁解している。
しかし次の瞬間、「付き合ってんの?」という単刀直入すぎる瀬川くんの言葉に私は吹き出した。
「いや…付き合って…ないね(笑)」
平野が言うと、アンナも続いた。
「まぁ、とにかく出よう。人が多すぎる」
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神社にはとてつもない長さの行列ができている。
急ぎでもないので4人で最後尾に並び、「で?(笑)」という瀬川くんの疑問符にアンナと平野は苦笑う。
「で、ってなに~?(笑)ほんとに、なにもないもんねぇ平野?」
「うん。マジで付き合ってないよ。内緒にする理由もないし(笑)」
「そうそう!」
「「ふぅ~~ん…」」
「ちょっとぉ、やめてよもう(笑)」
アンナが私の肩を叩く。
人妻との恋が終わった平野と、浮気されて失恋したアンナ。
どう見ても良い雰囲気の2人だけれど、これ以上の詮索は私も瀬川くんもしなかった。
…
お参りしてから、私はアンナと一緒にりんご飴の露店に並んだ。
男2人はたい焼きに並んでいる。
「ね、ミライ」
「ん~?」
「付き合うって、どういうことかな」
「…ふふふっ」
「なんで笑うのー?!真剣に聞いてるのにいっ!」
「いや、平野もおんなじようなこと言ってたなぁって思って」
「そうなの…??」
「うん。…私も分かんないって答えたけど(笑)」
「なにそれぇ(笑)」
「付き合う…。まぁ一般的には、好き合ってる2人が恋人になるよねぇ。特定のパートナーみたいな?」
「特定、ねぇ…」
「まずは好きって気持ちからじゃない?」
「好き……分かんないなぁ。恋って、するものじゃなくて落ちるもの…って言うでしょう?」
「しっくり来ないんだ?」
「うん。だって平野のことは中学の時から知ってるし、恋人になるなんて変な感じ。」
「でも、悪い気持ちじゃないでしょ?」
「まぁね…(笑)」
