
不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第36章 過去と現在
「今年の夏は、どっか行きたいとこある?」
当たり前のように先の約束が出来る。
いつも私の意見を最優先してくれる瀬川くんが、何度でも愛おしい。
「また、瀬川くんのお母さんのおにぎり…食べたいなあ」
「え~。そんなん、いつでも叶うだろ(笑)」
「ふふふっ(笑)」
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過去は消せない。
2人、犯してしまった黒い罪は
今後も節目節目にその姿を現すだろう。
でも私たちは今、きっととても幸せだ。
手をつなぎ、心を通わせ、未来の計画を立てる。
次から次へと問題が起こったようにも感じるこの一年が、私たちを成長させ、2人踏みしめる地を揺るがないものにした。
始まりはあの同窓会。
お互いに配偶者がいたあの頃から、環境はずいぶんと変わった。
私は30歳になって人生最大の恋をし、瀬川くんに言わせれば彼は”十数年越しの想いが報われた”らしい。
いつも優しい眼差しで私を見つめ、大きな心と体で包み込んでくれる彼は私の生きがいになりつつある。
これからもずっとこのままで…と、願わずにはいられない。
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もうすぐ、2人で見るのは二度目となる桜が…咲く。
