
不純異性交際(下) ―それぞれの未来―
第37章 その後の物語
数ヶ月前、晴れてスタートした紗奈の「いつき鍼灸院」はなかなかの賑わいだった。
私がデザインした看板を借家の玄関先に小さく掲げ、こぢんまりと働く紗奈は相変わらずパワフルだ。
もうすぐ3歳になるいっちゃんも、おりこうに別室で待てることが多くなった。
…
2週間に一度、美容鍼の施術をしてもらう。
「そんな真面目に通わなくても、まだ全然大丈夫でしょ~が(笑)」
「いやいや、今のうちからしっかりね。…と言いながら、本当の目的はお喋りだったりするんだけど(笑)」
「ふふっ、知ってる♪このあとランチ行こうよ、いつき最近うどんが好きなんだよね~」
「うろん、すち~~!」
お姉さんは相変わらず結婚の意志が無さそうだけれど、彼とはうまくやっているらしい。
両親が離婚し、母親が他界。
長いこと2人で生きてきた姉妹に、樹(いつき)という新たな未来が加わった。
「我が家で唯一の男手だから、樹には頑張ってもらわないと(笑)」
今日も紗奈は仕事に子育てと奮闘している。
