
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第83章 王子か鬼か
コンコンコン___
「ひなちゃんおはよう〜。」
「祥子さん、おはようございます。」
9時頃になって、祥子さんがラウンドに来た。
「ひなちゃん食欲なかったのね。しんどい?」
あっ…
今朝はご飯を半分くらい残したんだった。
看護助手の人が下げてくれたから油断してたけど、食事量確認されてるに決まってる。
藤堂先生にバレないようにって考えてたけど、その前にまずは祥子さんだ…
「あ、あの…もうすぐ大学入って初めてのテストなので、なんかすごく緊張しちゃって喉通らなくてっ…」
「あら、そんなに緊張してるの?試験はいつからだっけ?」
「3日後です。」
「本当にすぐね、それなら早く治さないと。お昼はしっかり食べてね。」
と、ここは怪しまれることなくクリア。
「そしたら、お熱測ってくれる?」
ギクッ!
そうだ、ここで検温があるんだった。
やばい…
まだ藤堂先生が来てないというのに、もはやこれが最大の難関かもしれないと、渡された体温計を祥子さんにバレないようゆる〜く挟む。
ピピッ…
すぐに脇から取って確認すると、36.9℃の表示。
んー…ちょっと怪しいけど、まぁセーフかな?と祥子さんに渡すと、
「36度9分ね。ありがとう。そしたら血圧測るわね。」
と、第二関門もなんとかクリア。
