ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第83章 王子か鬼か
「ふふっ。美味しそうでしょ。これあんみつって言うの。ひなちゃん食べたことある?」
食べたことない…
けど、あんみつは知ってるし、食べてみたかった。
…ゴクッ
そんなあんみつを目の前に差し出され、思わず喉が鳴ってしまう。
でも、こんなの絶対機嫌取り。
藤堂先生なんかに、騙されちゃダメ!
と、あんみつを見つめながらグッと我慢。
「………。」
「あれ、ひなちゃん本当にいらないの?ここのあんみつ美味しいのに〜。」
って言いながら、藤堂先生はわざとあんみつをフリフリしてくる。
「………ゴクッ」
「ふ〜ん、いらないの。じゃあ、こっちならどう?」
とあんみつが引っ込むと、今度は取り上げられたノートが降りてきた。
これには、あっ…!となって布団から手を伸ばすと、またすぐにひょいっとされてしまい、
「あ、ちょっと…!!」
ノートを追いかけるように藤堂先生の方へ振り返ると、ちゃっかり目が合った。
「いつまでも意地張ってないの。ノート返してあげるから、まずはちゃんとお話ししよう。ね?ほら、座って。あんみつも食べるよ。」
ぽんぽん…
ニコッ
キラキラキラ〜
と優しい笑顔の王子様に、ここで敢え無く降参した…