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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第84章 トラウマの火種

-藤堂side-




ひなちゃんがまた何か考え込んでる。

悠仁からも祥子ちゃんからも、ひなちゃんの様子が変だと連絡をもらっていたけど、これは相当おかしい。

昼間はそんなことなかったから、恐らくは傑と夏樹と何かあったんだろう。

ただ、ここまでぼーっとするようなことになるって、何があった?



とあれこれ考えていたが、悠仁の名前を出した瞬間、明らかにひなちゃんの瞳が揺らいだ。



…なるほど。

これは、悠仁のことで間違いないな。

悠仁に1人になりたいって言ったのも、悠仁のことで何かあったからなら合点がいく。

となると、あいつらひなちゃんと何話したんだ…?




「それで、2人とはどんな話したの?何か嫌なことでも言われた?」




フリフリ…



と伏目がちに小さく首を振るひなちゃん。

さっき少し笑ってくれたのに、またぼーっとして黙り込んでしまった。




「ひなちゃん、1人で考え込むと良くないよ。ひなちゃんの場合、悩み事が続くと体調も崩しちゃうしね。誰にも言わないから、僕に話してごらん。」




と言うと、少し間があってから、ひなちゃんは涙ぐむような声で、




「…藤堂先生」



「うん?」



「わたし…、五条先生とキスできないです…」


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