ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第84章 トラウマの火種
「だけど…、ひなのだってもう大学生だぞ?ひなのはひなのって言えば、まぁひなのだけど…普通はそんな話もする年頃だろ。それに、五条先生だって…」
五条「俺がなんだ。」
「五条先生だって、待ってるのは本当じゃねーのかよ。ずっと同棲までしてて、そろそろひなのと…」
五条「あぁ、したい。あれやこれやしたいと思ってる。したいに決まってんだろが…。でもひなを焦らせたくない。手を握ったり抱きしめたり、どこまでなら平気なのか。どこまでがドキドキで、どこからがビクビクなのか。いつも様子見ながらなんだ。」
「少しずつ進まないといけないのは俺だってわかるよ。けどあんまり様子伺ってても、ひなのはなかなか変わんねーじゃん。だから、俺はちょっと背中を押してみようと思っただけで…」
五条「背中押した結果どうなった?お前らが少し話しただけでこうなってんだろ。ひなの心の傷は深いんだ。過去のトラウマの火種がひなの中でまだくすぶってる。それはお前もわかるだろ、わかってるから抜け出せてないって言ったんだろ。そんな状態なのに、俺にまで恐怖心抱いたらひなはどうなる?そういうこと考えろ…。」
「それはそうだけど…、だからこそだろ。ひなのだって自分で殻破らなきゃ。ひなの自身が帳解かなきゃ変わんねーじゃん!」
五条「あのなぁ…。帳はひなが自分で張ったんじゃない。これまでひなを取り巻いてきた環境が、ひなに帳を下させたんだ。だから、帳なら俺が破る。んなもんこっちから破りゃいい話だろ。ひなのこと思ってくれてるんだろうが、お前らはまだ考えが浅い。余計なことせず、もう黙って俺のこと見とけ…」