ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第12章 小さな冒険
ベッドに寝かされると、五条先生に聴診されて、まこちゃんが来て熱も血圧も測られた。
「なんで1人で部屋出たんだ?何してたんだ?」
五条先生の声がとても低い…
まだ怒ってるみたい…
「トイレ…」
「トイレ?なんでまこちゃん呼ばなかった?それにトイレ行くだけでなんでエレベーターにいた?」
「ひとりでいけると思って…。トイレ終わって、壁やドアにいろいろ描いてて楽しくて探検してました…。」
「はぁ…。あのなぁ、調子が良くなってきて元気になったと思うかもしれないけど、まだ喘息が酷いんだ。それに、貧血もあって身体が疲れやすい。今少しフラフラするだろ?」
言われてみれば身体がすごくだるい気がする。
コクッ…
「いいか?体力も全然ついてないし、ひとりでいるときにふらついたり倒れたりする可能性がある。だから、トイレだってまこちゃんと行くんだ。お前は自分の身体のことがよくわかってないんだから、勝手に判断せず言うことを聞きなさい。」
五条先生、声は怒ってるけど目は怒りに満ち溢れてない。
なんでだろ…
「ごめんなさい…。」
と謝ったところで思い出した。
あなた誰?
でも、なんとなく見たことあるような…
と、知らない先生に視線を向けると、ハッと気づいたようで自己紹介してくれた。
「あ!ごめんね、誰かわかんないね。神崎秋斗です。って何回かひなちゃんに会ってるけど、倒れてたから覚えてないかっ。五条先生と同じ小児科医だから、このフロアにいつもいるよ。これからも会うと思うからよろしくね。」
すごくニコニコした笑顔で優しい顔してて、まこちゃんと同じ感じ。
「少し休め。」
と五条先生が言うとみんな部屋を出て行った。