ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第90章 デート
ガチャッ___
「ひな!ただいっ……ま…」
リビングのドアを開けると、ソファーで眠るひなが。
「ひな…」
スヤスヤ眠るひなの目元が赤い。
服も所々濡れていて、ローテーブルには丸まったティッシュが無造作に散らかっている。
ごめん…
ひなは今日のデートをすごく楽しみにしてた。
今朝の電話、ひなの声がどんどん震えて、早口になって、泣くのを堪えているのだと気付かないわけがない。
ひなも医者になろうとする身で、医者である俺のことをいつも理解してくれる。
だけど、もう主治医でもない。
ひなにとって今の俺は、医者である前に彼氏だ。
何度もリスケになった上に、デート当日、それも約束の時間直前にドタキャンされるなんて、悲しくて怒りたくて仕方なかったはず。
どれだけ泣いたのか、相当な涙を流して疲れ果てたんだろう。
「ひな…ごめんな、本当に悪かった…」
そう呟きながら、ひなの頬にそっと手を伸ばすと、
……熱い
今度はおでこや首を触ってみるが、やっぱり熱い。
なんで……
そんなに高くないと思いつつ、体温計で測ってみると37度6分。
すぐに聴診して、ひなのおでこに冷たいタオルと身体にブランケットをかけた。