ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第90章 デート
"コホッ…コホッ……コホコホッ…"
これといって夢を見ていたわけではないが、現実で起きていることが夢の中に侵入してきて目が覚める…あの感覚と同じ。
微かに聞こえてきた咳の音で目を覚ますと、スヤスヤ眠っていたはずのひなが、布団に潜って声を押し殺すように咳き込んでいた。
「ひな!?」
慌てて布団を剥ぎ、苦しそうに咳き込むひなの背中をさすりながら、サイドテーブルに置いてあった聴診器に手を伸ばす。
「苦しいな。ごめんな、すぐ気づかなくて。ちょっともしもしするぞ。」
そう言って、ひなの胸に手を滑り込ませると、ひなの身体が昼間より熱い。
チェストピースが冷たいのか、ひなも身体をビクッとさせた。
「冷たいか?ごめんな、少しだけ聴かせて…」
と聴診すると、喘鳴が聴こえるようになってて明らかに悪化してる。
寝る前までは大丈夫だった。
熱だって下がってたのに…
「ひな、ちょっと苦しいな。お熱も測らせてな…」
と熱を測れば38度を超えていて、咳もどんどん酷くなり、吸入させても落ち着く気配がない。