ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第90章 デート
「コホコホコホッ!…ゴホッ……ゴホゴホッ!…ハァハァ」
「しんどいな、ごめんな。ひな、すぐ病院行…」
こうかと…、家で看るにはひなの身体が持たないから、もう病院へ連れて行こうと、そう思った瞬間、
"病院行くの…?"
って、不安そうに聞くひなの顔が脳裏に浮かんだ。
そうだよな…
こんな夜中にまた病院なんて、ひな嫌だよな…
すぐに病院へ連れて行くべきなのに、これ以上ひなに嫌な思いをさせるのかと思ったら、ひなをベッドの上で抱えるだけで立ち上がれない。
「ゴホゴホッ…、ゴホゴホッ…ゴホッ、ゴホッ!」
「ひな…ごめんな、苦しいな。大丈夫だからな。大丈夫、大丈夫…」
ひなを安心させるための"大丈夫"も、今はまるで、自分に言い聞かせてるみたいに感じる。
病院に行くのは、ひなにとってつらいこと。
でも、このまま家に居たってずっとつらい。
早く治してあげたいのに、俺はどうすれば…
と、苦しむひなを腕の中に判断出来ないでいると、
「ごじょぅせんせ…」
「ん?」
「病院、行こぅ…」
って、ひなが。
…っ、
ひな……、ごめん…。
ひなが自分から病院に行こうだなんて、よっぽどしんどいんだろう。
なのに、さっきから俺は何を迷って…
「うん、行こう。今から病院行こうな。すぐ楽になるから、もう心配しなくて大丈夫だぞ。」
ひなの言葉でようやくハッとした俺は、今度はしっかりとひなを抱いて立ち上がり、すぐに病院へ向かった。