
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第91章 ひなのウイルス
あれ…おかしいな〜、確かここに……
いつか、五条先生がここに救急箱をしまう光景を見たことがある。
せっかくそれを思い出したのに、救急箱は見当たらない。
はぁ…どこ行ったんだろう……
と、またしつこく探しまわり、ダイニングにあるラックを見ていると、キッチンから突然、
ジュジュッ…ジュジュジューッ!!
という音が。
「うわわぁぁわあわ!!」
何が起きたかなんて、言うまでもない。
うどんを茹でていたのを忘れ、救急箱探しに没頭していたら、お湯が思いっきり吹きこぼれた。
「あーーっうわわわ!!待って待って待って、待って、痛"っ…、ぃったぁー!!!」
ダイニングテーブルの脚に小指をぶつけながら、それはそれは急いでキッチンに行き、もう消えてるけども火を止めて、吹きこぼしたお湯をふきんで拭く。
すると、
「熱っ!!」
吸収の追いつかないお湯どもが、ふきんに押し出されるように、床の上の、わたしの足の上に流れ落ちた。
そしてさらに、
「熱っ!!」
その足を避けた拍子に、意識が逸れた手元にも熱湯がかかってしまった。
