
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第91章 ひなのウイルス
「ひなちゃん、冷たいけどちょっと我慢するよ。」
わたしをバスタブの淵に座らせて、自分の服が濡れるのはお構いなしにしゃがみ込み、手足を水で冷やしてくれる藤堂先生。
「熱かったね。痛い?ヒリヒリする?」
「どうして火傷しちゃったの?何作っててやっちゃった?」
「身体冷えちゃうね、寒くない?ごめんね、もう少し冷やさせて。」
わたしはそうしてくれる藤堂先生のつむじを返事もせずにぼんやりと見つめる。
すると、
「びっくりしたよね。もう大丈夫だよ。ひなちゃん、1人で頑張ったね。」
って顔を上げた藤堂先生と目が合って、優しい声に優しい顔に、張り詰めてたものが一気に緩み、ぶわわっと涙が溢れ返った。
