ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第91章 ひなのウイルス
「ごめんなさい…。」
ポタッ…ポタッ……
失敗を見られたこと。
これから怒られること。
どっちも嫌で俯くと、
右…左……
と涙が一粒ずつ床に落ちた。
すると、
「はぁ…、ひな…。」
五条先生が服の裾を握りしめるわたしの手をとって振り向いたので、
「五条先生のために頑張りたかったの…。いつもしてくれるみたいにしようとして、できなくて失敗したの。ごめんなさい…。」
頭の上に怒号が降ってくるだろう。
そう思って謝ったら、
「ひなは優し過ぎて一生懸命過ぎる…それと、俺に夢中になりすぎだ。何もしてくれなくても、その気持ちだけで最初から十分なんだぞ。俺のせいでケガさせたな、ごめんな。」
って、五条先生の優しい声と手が頭の上に舞い降りた。