ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第93章 誕生日の温泉旅行
温泉饅頭を食べた後は、またぶらぶら散策。
神社をお参りしたり、お茶屋さんで試飲が美味しかった茶葉を買ってもらったり。
喘息があるから買えなかったけど、お香屋さんで好きな香りを見つけてみたり。
立ち並ぶお店を順に見てまわり、続いて立ち寄ったのは雑貨屋さん。
このお店には和柄の小物がたくさん売っていて、
このヘアアクセサリーいいな〜
こっちのハンカチもかわいい〜
と見ていると、ちりめん生地の小さながま口ポーチに目がとまった。
わぁ。このポーチ、かわいいなぁ。
リップ入れたり、薬入れるのにもちょうど良さそう。
とさっそく使い道をイメージしていると、いつの間にか手に取ったポーチをじーっと見つめてしまっていて、
「それ、かわいいな。欲しいか?」
って、後ろから五条先生に声をかけられた。
「えっ、あ、いえっ!」
五条先生がいることを忘れて見入っていたわたしは、少し慌てたようにポーチを元の位置に置く。
「気に入ったなら買ってやるぞ。」
「いいです、いいです。これは、大丈夫です。」
「なんで。気に入った顔して見てたのに。」
「ポーチなら他にも持ってるので!あ、あっちも見てみましょう!」
と五条先生の手を引いて、とりあえずその場から離れた。