
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第95章 留学前の惨事
五条「血圧51/22です。」
工藤「どこから出血してるんだ…」
夏樹「……それで、ひなの車の上に乗っかって、胸から落ちてっ」
工藤「…胸から落ちた?」
夏樹「胸から。1回宙に浮いて、手も付かずまともに胸から。」
藤堂「心タンポナーデ起こしてるかも。」
工藤「心嚢穿刺します。」
五条「エコー出します。」
ここへ来て3分。
次第にサイレンが響き始め、警察、消防、救急…空には報道のヘリまで飛んできてる。
夏樹の話によると、車は3台玉突いた状態で歩道に突っ込んできたらしい。
車が突っ込んでくるとわかった時、ひなたちは十分車を避けられる場所にいたそう。
ただ、車を避けようとした自転車が急にスピードを上げてハンドルを切り、目の前で小さな女の子を轢きそうになったらしく、ひなはその子を守ろうとして自転車の前に飛び出したって。
ひなは女の子を突き飛ばした。
その代わりにひなが自転車とぶつかった。
ひなと自転車に乗っていた男はすぐに立ち上がったらしいが、そこへ車が突っ込んできた。
男はフロント部分、体重が軽いひなは車の上に身体が乗り上がる。
車はすぐに止まらずそのまま歩道の上を進み、男は途中でフロントから地面に落ちた。
車が街路樹に衝突してようやく止まる。
そして、その衝撃でひなの身体は車体の上を一度舞い、地面に打ちつけるようにして落ちたんだと。
