ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第98章 胸のざわつき
9月になってお母さんとお父さんが帰国してからは、五条先生がずっと付き添ってくれている。
病院なのに、毎日私服な五条先生はなんだか新鮮。
仕事は?って聞いたら、俺は今いない予定だったんだから大丈夫だと。
じゃあ1年間仕事しないのかって、もちろんそんなことはないけれど、仕事は様子を見て始めるからと、しばらく休暇を取ってくれた。
最初は食事を喉に通すだけで精一杯で、自分で食べようにもスプーンを握れず落としちゃうし、誰かの支えなしにベッドを降りたら転けちゃうし。
「ぅっ…ヒック……ごじょうせんせっ…グスン」
何度も何度も泣いたけど、その度に五条先生が、
「大丈夫大丈夫。ひな毎日頑張ってるから、心配しなくても絶対に良くなる。俺がついてるから、ゆっくり頑張ろう。」
って支えてくれて、1ヶ月経つ頃には随分と調子が戻ってきた。