ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第98章 胸のざわつき
「自転車とぶつかった後は、あまりはっきり覚えてないんですけど、ぶつかってこけて…、それからすぐに立ったと思います。でも、立ち上がった時にはもう目のま…」
…っ、
「目の前…」
…っ。
話の途中、突然、胸がザワッ…となって、言葉に詰まってしまった。
な、なに今の…
「ひな?」
「えっ?」
どうした?と、五条先生がすかさず反応してくるけど、先生たちにバレるわけにはいかないし、単なる気のせいかもしれない。
「…あ、すみません。えっと、その…」
なんでもないようにして、とりあえず話を続けようとするも、
「その、立った時には目の前にくるっ…、っ……く、車…」
…っ……!?
やっぱり胸がザワッとして、上手く言葉を運べない。
な、なにこれ…
心臓から鳥肌が立つような、なんとも言えない奇妙な感じ。
気持ち悪い、怖い…
そう思ったら、無意識のうちに五条先生の手を握りしめてて、
「ひなどうした?大丈夫か?」
やっぱりおかしい。見過ごさないぞ…?
と言わんばかりに、五条先生に顔を覗き込まれた。