ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第106章 すれ違い
息継ぎもしないで話していたのを、藤堂先生に声をかけられてハッとする。
そして、
「あっ…あの!もちろん、藤堂先生もめちゃくちゃかっこよくて、優しくて、素晴らしい人です!けどっ、その、恋人として!恋人として完璧というか、わたしが一緒にいたいと思うのはやっぱり五条先生しか…っていう、そういう意味です…。」
藤堂先生も完璧な王子様なのに、こんな史上最強の王子を目の前にして、五条先生がこの世で1番みたいに言ってしまった…!
と、慌ててそんな弁明をしたら、
「あはは。わかってるから大丈夫だよ、気遣わないで。でもね、そういうことだと思うの。ひなちゃんが申し訳ないなとか、彼女失格だなんて思ったら、五条先生も自信がなくなるんじゃないかな。ひなちゃんと同じように悲しくて寂しい気持ちになると思うな。」
言いながら、藤堂先生に指で頬を拭われて、
「あれ、わたし…」
初めて涙が出ていたことに気がついた。