
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第109章 幸せな痛み
「…っ」
「息吐いてごらん。」
五条先生の背中にしがみついた手を緩める。
「そうそう、力抜いててな…」
言いながら、またわたしの中に進んでくる。
…っ。
じんわりと感じる、ヒリヒリするような鈍い痛み。
「…っ"」
突発的にその痛みが強くなる度、五条先生の肌に指を食い込ませては、
「痛いな。大丈夫大丈夫、怖くないぞ。」
と、動きを止めてくれて。
「力抜いて…そうそう、上手に抜けてる。またもう少し進むな。…怖いか?」
「ううん…」
「掴まってていいからな。痛かったらまたギュッとして。いくぞ…?」
進んでは止まり進んでは止まりを繰り返すこと、何分、何十分。
