ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
実は臨床実習にあたり藤堂先生に相談をして、各科のオーベン(指導医)に身体のことを伝えるのは控えてもらっていた。
自己管理ならできる。しなきゃいけない。
実習では10も100も学びたい。
身体のせいでひとり特別扱いはされたくない。
だから、指導医になる先生方がわたしを気遣い遠慮してしまわないように、何も言わないでもらってた。
ずっとそうだから忘れていたけど、藤堂先生が主治医になるなんて、難しい疾患のある人か、いわゆるVIPの人。
いろんな患者がいるだろうけど、わたしを除けば何かしら"特別"な患者であるはず。
それに、藤堂先生の忙しさは想像を遥かに超えていた。
今のローテは内科。
他科でもそうだったけど、ポリクリ中、黒柱の先生に指導は一切してもらっていない。
指導を受けるどころか医局にいる姿すらほぼ見なくて、ようやく見かけたと思ったら、すぐ誰かに呼ばれてどこかに消える。
ポリクリでは先生たちに教わることもあるだろうと思っていたけど、学生の指導にはどうやら当たっていないよう。
黒柱の5人は本当にすごいんだ…って、この半年でよくわかった。
だから、こんな医学生の主治医が藤堂先生なんて、今日のクルズスの先生も驚いている。