ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
藤堂「すみません、先生。私が来たのは他でもないそういう事情です。講義の途中で申し訳ないですが、栗花落さんについてはこれより実習停止となります。」
「え…?」
七海「ちょっと待ってください。栗花落さんは実習停止って、僕たちは違うんですか?」
藤堂「大学側と検討中だが、実習は継続する方向です。工藤くんが言ったように、こういった事態を想定して抗体検査など行っていたわけなので、そこは考慮しようと。」
夏樹「じゃあ、ひなのだけ…。」
夏樹がそうつぶやく隣で、わたしの手足が小さく震え出す。
悲しいのか、悔しいのか、すぐに当てはまる形容詞が見つからない。
藤堂「他の4人には追って説明があるので、クルズス終了後、一旦この部屋で待機するように。先生、講義が終わりましたら医局長にご連絡いただけますか?学生へ説明しに来られるとのことなので。」
先生「承知しました。」
藤堂「お願いします。それじゃあ、栗花落さんは…」
藤堂先生がわたしに向かい合う。
「はぃ…。」
わたしは小さく返事だけして、荷物を持って、
『ひなの…。』
『ひなのちゃん…。』
みんなの声を背に部屋を出た。