ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第111章 ポリクリ
「……。」
黙り込んだわたしに、藤堂先生はまた少し座り直し、
「ひなちゃん、この間に貧血の治療をゆっくりしておこう。夜にって言ってたけど、少し落ち着いたら後で診察するね。具合は今平気?目眩とかない?」
診察はあとでと言いながら、膝の上で握りしめるわたしの手をさらりと取って、さらりと脈を取りながら言う。
クルズスに藤堂先生が入ってきた時は、貧血のことでわたしを呼びに来たのかと一瞬思った。
朝ちゃんと藤堂先生に連絡したのに、五条先生がすぐ診てとかなんとか言ったのかなって。
今となっては、そうであればよかったのにと思う。
「はぃ…。」
小さなため息を吐くような、か細い返事をすると、
「うん。そしたら、少し休んで待っててね。部屋は出られないから、何かあればナースコールするんだよ。些細なことでも遠慮しなくて大丈夫だから。必要なものは五条先生が持って来てくれるって。着替えも持って来るって言ってたから病衣は用意してないけど、すぐに着替える?持って来ようか?」
「いえ、大丈夫です…。」
「うん、わかった。それと、お昼は今日何か持って来てた?食べに行くつもりだったかな?」
「持ってきてます。みんなでお弁当を食べる予定だったので。」
「本当?そしたら、お昼はそれを食べておいてね。」
と、藤堂先生は部屋を出て行った。