ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第112章 麻疹
「…っ、ッ…!!」
「ごめんね、苦しいね。辛いけどちょっと頑張って。」
わたしの目にはすでに涙が光るけど、藤堂先生は容赦なく舌圧子を押し当てて、ペンライトで喉を照らす。
「……っ、…ッ、っ!」
嘔吐反射に襲われるのに、込み上げてくるものを放つことも飲み込むことも出来ず。
苦しさから逃げようにも、
「ひな動かないよ。鼻で息してごらん。」
五条先生に頭をがっしり持たれているから、顔を背けることも叶わない。
そうして耐えること、体感1分。
実際には、まぁ、10秒くらい。
「オエッ…っ、ゴホッ、ゴホゴホッ…!!」
ようやく解放してもらえると、
「喉の腫れが酷くなってる。これじゃあ痛いはずだ。」
ということで、鎮痛剤と咳止めが処方され、ごはんを食べる代わりに栄養剤も点滴された。