
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第116章 神崎先生
「子どものアレルギーは成長過程で克服することも多いので、今すぐ深刻に受け止めなくて大丈夫ですよ。お熱が下がって体調が良くなったら、アレルギーの治療を考えていきましょう。今日は点滴だけしておきますね。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
「…大丈夫ですか?」
「あ、はい。この子注射は強いみたいで、点滴とか泣かないんです。アレルギーとわかってひと安心しました。この熱を早く楽にしてあげたいので、点滴お願いします。」
と言ったお母さんに、
「そうじゃなくて、お母さんがです。」
「えっ?」
「お疲れでないですか?この数週間、原因がわからないままずっとたろうくんを心配されて、心身ともに大変だったでしょう。点滴の間、たろうくんは責任を持ってみておくので、お母さんもベッドで休まれてください。」
「え?いえ、そんな…っ!私は…」
「お母さんが倒れてしまったら、困るのはたろうくんですよ。たろうくんのお母さんは、お母さんだけですから。たろうくんの健康と同じように、お母さんの心と身体も大事です。気休めでも良いので、休まれてください。」
って。
