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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第116章 神崎先生



その後、たろうくんのお母さんは涙を流しながらお礼を言って、たろうくんの点滴の間30分ほど休み、来た時より顔色がよくなって帰って行った。

ただでさえ大変な子育てで、子どもが体調を崩し、不安や疲労でいっぱいの中、神崎先生からの言葉はどれだけ嬉しかっただろう。




「…神崎先生。」



「ん?」



「わたし、神崎先生みたいになりたいです。」



「なに、ひなちゃん。どうしたの急に。笑」



「さっきの、たろうくんのお母さん。神崎先生にすごく救われたと思います。お母さんことまでよく見ていて、あんな声掛けや対応をって、なかなかできることじゃないと思って…。」



「小児科はさ、患者本人から症状を聞き出すのは難しいでしょ。おしゃべりすらまだの子どもだって来るわけで。そんな子どもたち相手に、知識や経験がいくらあろうと、この限られた時間ではわからないことだらけなんだよ。でもね、親は子どものことがよくわかってるから。特に母親はそう。母親が子どもに感じた違和感とかってすごく重要で、そういうのをいかに聞き出せるかなんだ。患者はもちろん、親御さんに向き合うことも小児では大事なるって、覚えておくといつかきっと役立つよ。」


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