ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第117章 変調
「…なちゃん。……ひなちゃん。」
ん…?
わたしを呼ぶ声と肩をぽんぽんと叩かれる感覚に、目を開けると藤堂先生が。
「藤堂…先生……?」
「ひなちゃん、病院行こうか。」
「ぇっ…?」
「ちょっとごめんね、掴まっててよ?」
そう言って、藤堂先生はわたしの身体を起こしながら、わたしの腕を自分の首にかけさせて、お姫様抱っこしようとする。
え…?
…あ、そうか。
わたし、実習サボって家にいるんだった。
寝ぼけてたけど、少しずつ状況を把握してきて、
「ぁ…ぃやっ……待っ、…い…っ。」
お姫様抱っこを拒もうとすると、身体に痛みが走った。
「ひなちゃん、じっとしてて。」
「あの…、病院、違うんです…。病院は行かなくていいです。」
「うん、わかっ…たとは言ってあげられないけど、とりあえずソファーに行こう。ね?ずっと床で寝てたから身体が痛いんだよ。」
そういえば、キッチンの床に座り込んだまま寝ちゃったんだった。
そりゃ、身体も痛くなるか。
うん、藤堂先生の言うとおりだ。
と、ここは妙に納得して、ひとまず藤堂先生に身を預けソファーに運んでもらう。