
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第123章 研修医
「おい!このタッグ付けたの誰だ!?」
トリアージがおおむね終わり処置や搬送が進められる中、現場に宇髄先生の大きな声が。
宇髄先生の手元には、わたしがトリアージした負傷者が。
「わたしですっ!」
何が起こったのかわからないけど、すぐに宇髄先生のところへ駆け寄ると、
「どんなトリアージした?」
「えっ?」
「何をどう診て黄色付けた?」
「えっ、えっと…」
目の前の患者は明らかに急変していて、さっきまでわたしと会話していたなんて思えないほど。
わたしに問いながら、手元はものすごいスピードで処置を進める宇髄先生に、トリアージの内容を説明して、
「聴診したか?」
「い、いえ…っ。でもブランチテストは」
「それがすべてじゃ無いだろ!なぜ基本のキをすっ飛ばした?トリアージはマニュアル通りやってりゃ良いのか?災害時は心筋梗塞が増えること頭になかったか!?」
「…っ。」
「ここはもういい。栗花落、次の救急車で患者と一緒に先に戻れ。」
「えっ…?いや、でも…っ」
「聞こえなかったか?」
「…嫌です。帰りません。負傷者はまだいます。次はちゃんとできます。最後までやりますっ!」
「できるできないじゃない!戻れと指示してんだ。頭回ってないやつは現場にいらん。」
「っ…。」
「工藤っ!!」
『はいっ!!』
「ああ、夏樹も、2人こっち来てくれ。応援頼む!」
工藤先生と夏樹が走ってくる。
「ひなの。」
夏樹は一瞬わたしの肩に手を置いてから宇髄先生のところへ。
「……お先に失礼します…。」
