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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第19章 夢と過去の記憶

-五条side-




「スー……スー………」



藤堂「ひなちゃん、今は落ち着いて眠ってるね。」



「はい。」



「スー……トム……」




…っ!?

ひな…今なんて…




神崎「ひなちゃんなんかしゃべった。」



藤堂「夢見てるのかな?」



「スー……スー……ト……ム……」




ひなの目からスーっと涙が流れた。

鼓膜の破れた耳に入らないように、そっと指で拭う。




神崎「ん?ト?」



藤堂「トムって聞こえなかった?」



神崎「トムって誰?犬の名前とか?」




…俺の名前だ。俺のミドルネーム。

小さかったひなは"悠仁"って言いにくかったみたいで上手に言えなかった。

お袋がTomって教えると、こっちはすぐに言えたから、ひなはずっとトムって呼んでた。




神崎「ね〜?ねぇ、五条先生聞いてる~?」



「え?あ、すみません、もう一度お願いします。」



藤堂「トムって知ってる?」



「俺です。」



『……へ?』




へ?って…

なんだよ、その反応…




「俺です。俺、アメリカで生まれたんでミドルネームあるんです。Tomがそうで、ひなは悠仁って言えなかったからTomって呼んでました。」



神崎「ちょっと!なにそれ、聞いたことないよっ!」




いや、言ったことなし…

わざわざ言うことでもないだろそんなもん…




藤堂「それひなちゃんの大事な情報だよ?教えといてくれないと。」



「なんかすみません…」



「スー……スー……トム……スー……」




ひな…



俺はそっとひなの頭を撫でた。




藤堂「悠仁、俺は先に戻るね。」



神崎「俺も。」




と言って、2人は気を遣ってくれたのか医局に戻って行った。


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