ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第26章 退院したって甘くない
はぁ…なんでまた…
わたしは救急外来の処置室のベッドの上で、五条先生の診察を受けている。
「深呼吸して。」
「スー…コホコホッ…ハー…ケホケホッ…」
しかも、ここにいるのは五条先生だけじゃない。
「ひなちゃん、戻ってきちゃったな。」
というのは工藤先生。
朝から咳をしてたことが五条先生にバレたのは、
夏樹くんが工藤先生に言って、工藤先生が五条先生に言ったからみたい。
そんな謎が解けてもしょうがないけど…
「夏樹くんひどい…ケホケホッ、ケホケホッ!」
「夏樹は酷くないだろ!むしろ感謝しないと。学校で発作起きてたらどうしてたんだ!」
うぅ…
家にいる時には医者から離れた"五条悠仁"な五条先生だなと思ったりしてたのに、そんな五条先生はもういない。
この怒った低い声は完全に、Dr.五条って感じ…
いや、Dr.なんかじゃなくて"鬼"ってつけてやりたい。
鬼五条…
「咳は出てたけど、コホッ…本当にそんなにしんどくなくて…ケホケホッ」
「今どんだけ熱あると思ってんだ!39度だぞ?」
「えっ!家で測った時38度4分って言ってた…」
「ここに来るまでにまた上がったんだ。」
「でも、そんな、わたししんどくない…」
「自分ではしんどくなくても、身体はしんどいから熱が出てるんだ!今日はこのまま病院に泊まるからな。」