ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第27章 2月29日
「五条先生、これ…」
「ひな、誕生日おめでとう。正確には今年は閏年じゃないけどな。今日はひなの14才の誕生日だ。」
2月29日。
4年に一度のうるうの日がわたしのお誕生日。
今日は3月1日。
誕生日なんてもうずっと誰にも祝ってもらってない。
それに閏日も4年に一度しかこない。
だから、自分が今日誕生日であることすら忘れてた。
「忘れてました…」
「だろうな。だから欲しいもの買おうって言ったんだよ。気づくかなと思ったけど、気づかなかったな。」
といって、本屋さんで買ってもらった本を渡される。
お会計するところ見てなかったけど、綺麗にラッピングしてくれてた。
「はい、誕生日プレゼント。」
「五条先生…ありがとうございます…」
こんなにうれしくて涙を堪えらるわけがない。
ポロポロ流れる涙は、ラッピングペーパーにもこぼれ落ちた。
「泣くなよ。せっかく綺麗に包んでもらったのに。」
「ごめんなさい。でも、うれしくて、本当にうれしくて、わたし今すごく幸せです…」
というと、五条先生がそっとわたしを抱きしめる。
「誕生日はここまで大きく育ったひなのおめでとうの日で、産んでくれたマミーとダディーへありがとうの日だ。空にいるダディーとマミーのためにも、ひなはこれからもっと幸せにならなきゃな。」
これ以上の幸せなんてあるのだろうかというくらい、今この瞬間が本当に幸せ。
人生のほとんどがつらいことだけど、五条先生の腕の中に包まれて、心から思える。
「生きててよかった…」
「生きててくれてありがとう。これからも生きるんだぞ。俺が支えるから。」
"トクン"