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ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜

第48章 感度は抜群

-藤堂side-




「ケホケホッ…グスン、グスン。」




治療の疲れが出てるのか、少し咳き込んでて身体が怠そう。

ただ、熱はないし胸の音も大丈夫そうだ。




「うん。ひなちゃん喘息酷くなってないから大丈夫だよ。疲れて少ししんどくなっちゃったね。治療、よく頑張ったよ。」




と言うと、またひなちゃんの目からぶわっと涙が溢れた。

その姿に胸が締め付けられ、思わずベッドに腰掛けてひなちゃんをそっと抱きしめる。




「怖かった…グスン、身体が変になって…どっか行っちゃうみたいで…治療怖かった…ヒック、ヒック、ケホケホッ…」



「怖かったね。あんな感覚になるの初めてだったよね。ひなちゃん、お咳出て苦しくなっちゃうからゆっくり呼吸するよ。」



「ヒック、ヒック…うぅっ…ケホケホッ、ケホケホッ…」



「大丈夫、大丈夫。咳が落ち着いたらもう一度横になろうね。」




と背中を撫でてあげてると、ギュッと白衣を掴んできて、




「嫌…。グスン」



「どうしたの?何が嫌なの?」



「このまま…ヒック、藤堂先生、離れないで…ケホケホッ」




…っ。

ひなちゃん、俺にまでこんなに甘えるなんて…。



熱でも出てきた?とおでこに手をやるけどやっぱり熱はない。



よっぽど治療辛かったかな…

それともイった後で人肌恋しくなった?

あぁ、早く治して悠仁に甘えさせてあげたい。




「うん、わかった。このままいるから呼吸整えよう。」




と、優しく抱き締めて背中を撫で続けること30分。

ひなちゃんの身体が俺に寄りかかりきって寝息が聞こえ始めた。

そっと身体を離しベッドに預けて、背もたれも下げる。

もう一度聴診だけして、落ち着いてぐっすり眠ったことを確認してから、そっと病室を出た。


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