ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第51章 モクモクタイム
「おねぇちゃん、がんばれー!!」
「っ…!?」
突然後ろからそんな声が聞こえて振り返ってみると、年長さんくらいの男の子が。
そして、その子の手を繋ぐのは、五条先生。
「おねぇちゃん、モクモクきらい?ぼくじょうずだよ!」
「お姉ちゃんモクモク下手だな。よし、じゃあ智樹くんはお姉ちゃんの隣に座って…はい、今日も上手にやってみようっ!」
と、五条先生は智樹くんっていう男の子をひょいっと持ち上げて、わたしの隣の機械の前に座らせる。
すると、智樹くんは五条先生に渡されたマウスピースを自ら口に咥えて、涼しい顔して吸入し始めた。
な、なんだこの子は…。
しかも、まだ小さいのにマウスピースで出来るんだ。
五条先生も小さい子だからか、見たことないくらい笑顔で小児科医らしい話し方を。
こんな風に子ども相手できるんだ。
わたしには厳しかったのに、知らなかった…。